平成26年 内閣府調査「特集 今を生きる若者の意識~国際比較からみえてくるもの~」
そんな日本の若者たちは会社に入社してどうやって成長していくのでしょうか。今回は自己肯定感が低い部下と、その上司の関わりについて考えていきましょう。
そもそも、自己肯定感が低いというのは、どのような事なのでしょうか。
自己を肯定できないということは、自分を否定してしまうという事です。つまり、自分で自分を認められない状態のことを指します。大きく分けて、次の3つのパターンに分類すると
1.自信がなくて消極的
2.自己決定ができず依存的
3.他者と比較をして劣等感が強い
では、自己肯定感が低くなる要因とは一体何なのでしょうか。
1.自信がなくて消極的
成功体験が乏しい。勇気をだして発言したことを笑われる等、過去に嫌な経験をしたことにより、「目立つと笑われる。だから目立ってはいけない」と失敗体験が脳にインプットされて積極的な行動がとれなくなってしまう。
2.自己決定ができず依存的
習い事やお金の使い道、受験等、子どもの頃から自分で決定する機会が少なく、身近に強力な主導者から指示や命令を与えられ続け、段々と反発することを諦めてしまい受け入れるようになった。
3.他者と比較をして劣等感が強い
小学校入学から大学卒業までなら計16年間、ずっと学校や先生のモノサシで評価され続け、点数を付けられる他者評価制のため、他人の目を気にする「他人軸」が育ってしまった。
以上の様に、持って生まれた資質というよりも、環境と他者の影響が大きいことが分かります。そして、これら3つはそれぞれが複雑に影響しあって自己肯定感を下げる要因です。
例えば、自己肯定感の低い部下の場合、言われたことはやるが「教えてもらえばやります」と受け身だったり指示待ちだったり、というのは自己決定できないことから起きています。
自信がなくて依存的なので何かトラブルが起きた時には「○○さんが言ったから」等と誰かのせいにしてしまう。
また、常に上司に評価されているような気持ちに陥り、劣等感から「どうせ自分なんて」と自分の意見が言えなくなってしまう。
ここまで聞くと知り合いの顔が頭に浮かんだ、という人もいるのではないでしょうか。
では逆に、自己肯定感が高いとは、具体的にどういう事なのでしょうか。皆さんの周りにいる自信に溢れた上司を思い浮かべてみてください。
失敗を恐れず、人の意見に振り回されず、自分のモノサシをもっていて、成功するイメージを持っている。上司として目標に向かって突き進んでいける強さと自信は部下へのロールモデル(模範)となるでしょう。
その自信はどこから来るのでしょう。
それは過去の経験に裏付けされて積みあがった自信であり、それが業務での原動力にもなっています。小さくても成功体験を重ねることで「自分のやり方・考え方は正しい」と、自分を認める(肯定する)ことができるようになります。
それが仕事の自信につながり、新しいチャレンジにも臆することなく未来を切り開いていける強さになります。
つまり、自己肯定感の低い部下を引き上げていくために上司にできることは、失敗しても大丈夫だと思える安心安全な環境作り、そして成功体験を得るために絶対にクリアできるレベルのハードルを用意したり、「君はどうしたいのか」という問いを投げ続けていく等の方法があります。
しかし、自己肯定感が高いことがリスク(短所)となって表出するケースも忘れてはなりません。経験から導かれる自信が揺るぎない分、自分のやり方が正解だと強く思い込んでしまう場合があります。
その為、自分のやり方や考え方を押し付けてしまう。自己肯定が高いというのは、長所である反面、裏を返せば横柄さや傲慢として表出する場合があり、「なんでそんなやり方をしてるんだ。お前がいくら考えたってどうせまた失敗するだろう?手間を掛けさせるな。俺の言うとおりにやれ」と、部下からするとパワハラに感じてしまいます。
こうした上司の自己肯定感の高さが短所として表出すると、部下の主体性を押しつぶしてしまい、自己肯定感の低い人財を創りあげてしまう可能性があるのでご注意ください。
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