ここ最近、私がお受けした相談で多かった退職理由は
1.思った感じと違った
2.ちゃんと教えてくれない
3.周りから監視されているようで気が抜けない
1は、業界研究が足りなかったとご自身でも気づいています。
2・3に関してはどうも他人軸傾向が強いように感じます。
これまで教える専門の人(先生)から、学ぶために用意された環境(学校)で10年以上ずっと教えられ続けてきたこともあり、会社でも1から10まで教えてもらえると思っていたところ、入社してみると先輩社員は皆忙しそうで誰に聞いていいのか分からず、結局誰にも聞けないというのです。
仕事をしていても、これでいいのか、間違っていないかと常に不安を抱えているのに、その不安を打ち明ける人がいない。ビクビクと迷いながら仕事をするせいで何度もやり直しをして時間がかかり、「自分は仕事が遅い。この仕事は向いていない」と辞める理由をかき集めます。
一方で、指導係りが付いていてもうまくコミュニケーションが取れず、聞きたいことがきけない場合もあります。指導係りの言い方がキツイと感じたり、馬鹿にした態度にに思えたり、聞こえるように悪口を言うなど、後輩社員に対して侮辱・暴言を吐く行為は、精神的な攻撃としてパワハラに当たると考えられます。
今日はそんな危険を回避するためのキーワード「共感」について考えていきましょう。
共感とは感情を理解して共有する能力(オックスフォード英和大辞典)
他人の意見や感情などにその通りだと感じること、また、その気落ち(goo辞書)とあります。
共感力が低いのは一見悪い印象があるかもしれませんが、任務遂行能力が高いという一面があります。例えば、嫌がる部下に残業を依頼するなど、周りの感情に引きずられることなくやるべきこと見失わず、業務を実行できる長所と言えるでしょう。
逆に共感力が高い場合、「共感を示してあげなくては」と部下の話を親身に聴き、「うんうん、そうか、分かるよ」と同調をしていくことで、相手はどんどん気持ちよくなって忘れていた過去の思いまでも再燃させてしまう事があります。
共感するのは一見いい事のように思えるかもしれませんが、共感には相手を救う共感と、相手をダメにする共感があるのです。相手を救う共感とは、本当に辛いときや頑張ったときにその感情をしっかりと受け止め、受け取ったことを言葉や態度で示します。逆に相手をダメにする共感とは「共感しちゃう」ことを指します。
そもそも、その共感とは誰の為にするものでしょう。
可愛そう、頑張ったね、大変だったね、と自分事のように一緒に涙を流す人。これは相手の話を聞きながら、自分の過去の経験から同じような事柄を引っ張り出し、重ね合わせて自分事にしています。つまり、自制できず思わず「共感しちゃう」人です。
では、相手のために共感する、とはどういう事でしょうか。それは、共感する・しないをコントロール(自己制御)し、どの部分に共感するのか、どのように共感を示すのか等、意図をもって共感していきます。そうすることで、部下からの依存を避け、感情に引きずられることもなくなるのです。
人間関係において、共感は欠かせないスキルです。しかし、だらだらと相手に引きずられてしまうのでは逆効果です。部下との信頼関係を構築するために「相手のため」の共感の示し方を習得することが、早期離職を防ぐひとつの対策となるでしょう。
平成26年 内閣府調査「特集 今を生きる若者の意識~国際比較からみえてくるもの~」
そんな日本の若者たちは会社に入社してどうやって成長していくのでしょうか。今回は自己肯定感が低い部下と、その上司の関わりについて考えていきましょう。
そもそも、自己肯定感が低いというのは、どのような事なのでしょうか。
自己を肯定できないということは、自分を否定してしまうという事です。つまり、自分で自分を認められない状態のことを指します。大きく分けて、次の3つのパターンに分類すると
1.自信がなくて消極的
2.自己決定ができず依存的
3.他者と比較をして劣等感が強い
では、自己肯定感が低くなる要因とは一体何なのでしょうか。
1.自信がなくて消極的
成功体験が乏しい。勇気をだして発言したことを笑われる等、過去に嫌な経験をしたことにより、「目立つと笑われる。だから目立ってはいけない」と失敗体験が脳にインプットされて積極的な行動がとれなくなってしまう。
2.自己決定ができず依存的
習い事やお金の使い道、受験等、子どもの頃から自分で決定する機会が少なく、身近に強力な主導者から指示や命令を与えられ続け、段々と反発することを諦めてしまい受け入れるようになった。
3.他者と比較をして劣等感が強い
小学校入学から大学卒業までなら計16年間、ずっと学校や先生のモノサシで評価され続け、点数を付けられる他者評価制のため、他人の目を気にする「他人軸」が育ってしまった。
以上の様に、持って生まれた資質というよりも、環境と他者の影響が大きいことが分かります。そして、これら3つはそれぞれが複雑に影響しあって自己肯定感を下げる要因です。
例えば、自己肯定感の低い部下の場合、言われたことはやるが「教えてもらえばやります」と受け身だったり指示待ちだったり、というのは自己決定できないことから起きています。
自信がなくて依存的なので何かトラブルが起きた時には「○○さんが言ったから」等と誰かのせいにしてしまう。
また、常に上司に評価されているような気持ちに陥り、劣等感から「どうせ自分なんて」と自分の意見が言えなくなってしまう。
ここまで聞くと知り合いの顔が頭に浮かんだ、という人もいるのではないでしょうか。
では逆に、自己肯定感が高いとは、具体的にどういう事なのでしょうか。皆さんの周りにいる自信に溢れた上司を思い浮かべてみてください。
失敗を恐れず、人の意見に振り回されず、自分のモノサシをもっていて、成功するイメージを持っている。上司として目標に向かって突き進んでいける強さと自信は部下へのロールモデル(模範)となるでしょう。
その自信はどこから来るのでしょう。
それは過去の経験に裏付けされて積みあがった自信であり、それが業務での原動力にもなっています。小さくても成功体験を重ねることで「自分のやり方・考え方は正しい」と、自分を認める(肯定する)ことができるようになります。
それが仕事の自信につながり、新しいチャレンジにも臆することなく未来を切り開いていける強さになります。
つまり、自己肯定感の低い部下を引き上げていくために上司にできることは、失敗しても大丈夫だと思える安心安全な環境作り、そして成功体験を得るために絶対にクリアできるレベルのハードルを用意したり、「君はどうしたいのか」という問いを投げ続けていく等の方法があります。
しかし、自己肯定感が高いことがリスク(短所)となって表出するケースも忘れてはなりません。経験から導かれる自信が揺るぎない分、自分のやり方が正解だと強く思い込んでしまう場合があります。
その為、自分のやり方や考え方を押し付けてしまう。自己肯定が高いというのは、長所である反面、裏を返せば横柄さや傲慢として表出する場合があり、「なんでそんなやり方をしてるんだ。お前がいくら考えたってどうせまた失敗するだろう?手間を掛けさせるな。俺の言うとおりにやれ」と、部下からするとパワハラに感じてしまいます。
こうした上司の自己肯定感の高さが短所として表出すると、部下の主体性を押しつぶしてしまい、自己肯定感の低い人財を創りあげてしまう可能性があるのでご注意ください。
弊社では社員のコミュニケーションスタイルやリーダーのマネジメントスキルを高める適性検査を導入した研修で北陸(石川・富山・福井・新潟)を中心に働きやすい組織づくりを支援しています。
管理職やリーダーへのパワハラ防止研修を通して働きやすい組織づくり、ダイバーシティの推進、若手の定着など、ご相談ください。
シェヘラザード 邑本なおみ
メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は平成29年度では58.4%(H28年度は46.5%)で、少しずつ増えています。
仕事が思ったようにうまくいかず、時間に追われ体力も精神力も疲弊してくると、部下が自分のメンタルを守るために「自分は不当な扱いを受けている」「これはパワハラだ」と会社や上司を悪者にして訴えてくることがあります。それはそれで厄介なのですが、もう一方で危険なのは部下の視野が狭くなってしまい、上司から差し伸べられた手が見えなくなってしまうことです。
学生時代から「今どきの若いモンは・・・」と周囲の大人達からずっと言われ続けてきた部下たちの中には、自分がちゃんとしなくては、と必要以上に真面目に受け止めてしまい「自分ひとりが足を引っ張っている。もっとやらないと皆に迷惑を掛けてしまう。」と常に自分を戒めてしまう場合があります。
上司としては、部下のモチベーションが段々下がっていくのが目に見えるので、心配して手を差し伸べてはみるのですが、それすら「甘えるのは社会人として失格だ。甘えてはいけない。」と払いのけてしまう。
上司が褒めても「そんなわけはない。自分はまだまだ未熟だ。あれも出来ていない。これも・・・」と素直に受け取れないし、上司が心配して「大丈夫か?」と声掛けしても「お前ちゃんと仕事できんのか?」に勝手に変換されてしまったり、部下の自主性を重んじるが故の「大変だったら辞めるという選択肢もあるけど、どうする?」という言葉も深読みしすぎて逆にプレッシャーを与えることになってしまう。場合によっては戦力外通知をされたのだと取られてしまい、それがきっかけでさらにメンタルダウンが進む要因となることも。
さて、一体上司としてはどうすればいいのでしょう?
こんな風に差し伸べた手が見えなくなってしまうのは、部下が精神的余裕がないことにプラスして、常識の壁を破れないことが一つの要因かもしれません。例えば、会社の飲み会で「今日は無礼講だ」と言われても、実際上司にため口をきくことは絶対にNG。これが常識だとすると、いくら気を許していいよと言われても、上司は友達ではなく、やはり上司なのです。
そんな時には上司と部下というタテの関係よりも、第三者との関わりが効果的な場合があります。例えば同僚とのヨコのつながりで「大変なのは自分だけでない」と知ったり、同僚のやり方、考え方を共有できると狭くなっていた思考の枠が広がり、それまで見えなかったものが見えてくるというのはよくある話です。
その他には、メンターの存在が有効です。社内メンターであれば、一般的には他部署の先輩社員がメンターとなって直接的な利害関係を飛び越え、いわゆるナナメの関係性で部下をサポートしながら導く存在となります。
タテの関係でうまくいかない時には、ヨコやナナメの関係を活用して部下の成長を育みましょう。上司であるあなたがなんとかしなくては!と他者に頼らず抱え込んでしまう様なら、あなたもまた視野が狭くなっているのかもしれないので、ご注意ください。
弊社は、パワーハラスメントするリスクをあぶり出す適性検査を導入した研修で北陸(石川・富山・福井・新潟)を中心に働きやすい組織づくりを支援しています。
管理職やリーダーへのパワハラ防止研修を通して働きやすい組織づくり、マネジメントスキルの向上、ダイバーシティの推進、若手の定着、社内メンターの育成など、ご相談ください。
お問い合わせはコチラからどうぞ。
この親父ギャグは、連想記憶の達人である中高年男性の脳の特徴だというのです。
歳を重ねる度に社会的経験が増え、側頭葉に様々な言語が蓄積され、そして新たにインプットされた言葉(例えば「電話」)と似ているものを側頭葉の1000億もの神経細胞から探し出し、瞬時に親父ギャグ「電話に誰もでんわ」が生まれるのです。意外と脳内では凄い働きを行ってできる親父ギャグですが、出てくるものは、長年自分の経験で積み上げられた言語集というわけですね。
だとすると、もし、長年「部下は仕事が遅い」「今の若いモンは…」という言葉が蓄積されていたとしたら、何かの拍子に「だからお前はダメなんだよ」という言葉が飛び出しかねません。これがいわゆるパワハラの一要因になっているのではないでしょうか。
パワハラが明るみになった時の言い訳として「指導の範囲内」というのをよく耳にします。これは加害者が長年蓄積してきた言葉を無意識に放出しているだけだから、本人に悪気はなく、自覚がないのです。
側頭葉で思い浮かんだ言葉は、本来は前頭葉で制御して「言わない」ことも選択できるのですが、前頭葉の老化で制御しきれなくなっているために、思いついたことを12歳の少年並みに言わずにはいられません。つまり、脳のブレーキが効かない状態でパワハラが起きているという事になります。
前頭葉が委縮し始める中高年の男性は、脳科学的に言ってもこの悪気のないパワハラと親父ギャグを次々に繰り出してしまう傾向にあるのでご注意ください。
弊社では、パワーハラスメントするリスクをあぶり出す適性検査を導入した研修で北陸(石川・富山・福井)を中心に働きやすい組織づくりを支援しています。
管理職やリーダーへのパワハラ防止研修を通して働きやすい組織づくり、ダイバーシティの推進、若手の定着など、ご相談ください。
お問い合わせはコチラからどうぞ。
株式会社シェヘラザード 邑本なおみ